ひさしぶりです。三鷹です。
12月のはじめにコロナに罹患しまして、師走の殆どを療養に費やしました。
症状は風邪よりだいぶ辛かったけど、忙しい師走をスキップできたと思うとなんか得した気分になりますね。(先延ばしになっただけとも言う)
今は全機能快復してこうして呑気に文章を書いています。本当は今月一人でアドベントカレンダーやろうかとか思ってたんですがね…。
療養中にイッキ見したやつも含めて今季3本アニメ観てて、自分にしたらかなり観てる方だと思う。一年通してもこんなに観ない人間なので…
それだけ面白いシーズンってことだと思うので、観てて思ったことをつらつら書いていきます。
・チェンソーマン
好きなアニメの一つ「ゾンビランドサガ」を作ったMAPPAが従来の製作委員会システムをぶった切って制作してるらしい。「覚悟」してきた人たちだ…。
ある程度評価を得た原作を映像化するのは、新たな生命を吹き込むような一大イベントのはずで、それと関係ないしがらみで雁字搦めになって、産めよ増やせよ地に満ちよと粗製乱造されていくのは見るに堪えない。だから一社が責任を持って売り出していくというこうした動きは応援したくなる。
原作を読んでいたときの、続きが読みたくて次へ次へとページを捲っていたあの感じを映像化したらこうなるのか!という感情の連続。
だからこそ、なんだかゆったり尺使うなぁという印象もある。永久機関が完成しちゃうくだりとか正直来週までお預けかぁ…ってなった。
それは悪いことばかりではなくて、アキのモーニングルーティーンをじっくり描いたり、よりパワーちゃんを可愛く描いたり、デンジがマキマに与えられて、これからめちゃくちゃにされて奪われることになる日常が丁寧に映像化されたことで、原作を読み返すのが更に楽しくなった。
・水星の魔女
前作「鉄血」に続いてガンダムシリーズの視聴は2作目。タイトルロゴが素敵で、オープニングやアイキャッチで見るたび感心してしまう。
なんといっても音がいい!劇伴も主題歌もそうだし、戦闘の際の音響が特に好き。ビームライフルの砲身の長さ太さによって異なる射撃音がするところとか、ガンビットが攻撃を防御するときの音とか、甲高くても重みを感じる音響がクセになる。
ミオリネが「私達の世代はガンダムなんて知らないし」と発言したり、総集編で「ガンダムシリーズを見たことがなくても楽しめる!」と紹介していたりと、限りなくそういう層に照準してるのが分かる。自分もその一人。
作中で地球側の立場が低いのはシリーズの中では珍しいらしい。考えてみればなんで他のガンダムでは宇宙側の立場が高いんだろう?今のところ宇宙ってお金持ってる人や企業や国が進出していくイメージだ。被差別階級の人たちを地球から排斥した結果そうなったんだろうか?
ミオリネが地球に行きたがってる理由はよく分かってなかったけど、11話で「逃げなくても良くなった」といっていたあたり現状から逃げ出したいというのが大部分を占めていたんだろうか?トマトの話を聞いたときは母親のルーツが地球にあるのかなと思っていたが、その辺はまた語られるんだろうか。
プロスペラがスレッタをミオリネの婿にするべく学園に送り込んだ計画、どう考えてもエアリアルが絶対に負けない事が前提な気がするんだけど、「パーメットスコアは6を突破した」といっていたのを聞いて納得した。
正直スコアが具体的になんの指標なのかは分からないが、おそらくパーメットを介してどれだけ多くの情報を機体とやり取りしているか(シンクロ率的なこと?)を示すもので、ファラクトに搭乗したエランの最高スコアは4だったことを考えると、もはや単騎では人間をやめても誰も勝てないレベルに達していると思われる。
だからデリングが娘の婚約者を決闘で決めることにしたのも、プロスペラと共謀していることが明らかになった今、とんだ出来レースだったと言える。何も説明されていないミオリネからしたらいい迷惑だが、実質スレッタと結婚させるつもりでそうした可能性まである(プロスペラからどの程度情報共有されているかわからないので断言できない)。ついにOP映像からプロスペラとともに忽然と姿を消したが、娘たちに大事なことを伝えないまま退場しないことだけを願っている。死ぬなよ?絶対死ぬなよ!
…なんか書いてたら死ぬほうが話として自然な気がしてきたかも。
そうなったらいよいよガンダムの兵器としての側面が(株)ガンダムに突きつけられる展開が始まることになる。自分たちが平和利用を提唱する技術を使って目の前でテロが起こったとき、またそれを迎え撃つエアリアルもまた同じ兵器なのだが、社員たちがそこで何を思うのか、そういう描写にも期待したい。
キャラクターは行動の動機が明確で魅力的に描かれていて満足度が高かったけどこの話一体どこに着地するの?と思ってたけど11話でおぼろげながら浮かんできたという感じ。
ミオリネがスレッタを助けるためにガンダムと関わっていく中で、父親の秘めているものに触れていき、やがて自立していくこと、スレッタは自分が目標としていた母親への盲信と向き合わなければいけないタイミングが来ることで、自分のアイデンティティを見つけること。その2つには、スレッタとミオリネがお互いのために逃げずに戦うことで進むことができる…という構図がようやく見えてきたのかなと思う。
2クールで決着がつくらしいので、次回は相当話が動きそうで楽しみ。それにしても年明けまで待つのか…長いなぁ。
・ぼっち・ざ・ろっく!
Twitterで回ってきたニセ声真似やニコ動にあるMAD動画のクオリティが高くて以前から興味があった。コロナに侵された身体に感情を大きく揺さぶる映像作品はキツかったので、普段わざわざ見ないような当り障りのない美少女アニメでも見るか…と思って足を踏み入れた。
蓋を開けてみれば思ってたのと違う、もっと言えばきららアニメに対して自分が持っていた偏見とぜんぜん違うものだった。
作中ではバンドマンと弾いてみた発のギタリストとのギャップが度々描写されていて、それがインターネットの普及したこの現代に即している。ぼっちがバンドを通じて他人と交流していく事で、その能力をアンロックしていくストーリーに説得力を持たせていてとても良い。8話のライブシーンの声が上ずったりドラムがもたつく感じがやたら生々しくて、学生時代の失敗体験が脳内再生されて泣いちゃった!
9話まで一気に視聴したあと、原作を全部読んで分かったのは、相当緻密に改変して映像化されている点。膨らませている点も削られた点もたくさんあるので、見比べると楽しい。
例えば3話の後半でぼっちが喜多を引き止めるシーン、原作ではほとんどぼっちが一人で説得しているが、アニメではぼっちが喜多の指の皮が厚くなっていることを指摘するまでにとどまっていて、その後の「かなり練習しないとそうはならない、諦めるにしてはまだ憧れが残っているんじゃないか」という旨の説得はリョウと虹夏がぼっちの意図を汲み取って行っている。ぼっちではなく2人が喜多の努力を認める描写を挟むことで、その後の人間関係のぎこちなさが解消されるので、4話以降でバンドとしての結束を強めていく過程もスムーズに見える。限られた尺でできる限り人物同士の関係を描写したいアニメならではの改変だと思う。
ぼっちが実はスタイルが良くて素材が良くて…という美少女アニメ然とした描写は原作からスパッと切除されているのが分かる。アニメでは声もついて絵も動くので没入感が強く、特にこのアニメではぼっち視点のモノローグで進んでいくため、自己肯定感が極端に低い主人公をコミカルに描写していく中で自然とオミットされていった要素なのだと思う(こういうのって見たい派と見たくない派に分かれると思うんだけど、自分は見たくない派)。
視聴後に登場人物のことを考えながら劇中歌や主題歌を聴き直すとまた違った楽しさがある。特にキャラクター自身が作詞する描写がある作品ならなおさら。
「私俯いてばかりだ それでいい 猫背のまま虎になりたいから」
OPテーマ『青春コンプレックス』のラスサビ前の一節。ぼっちが作詞を担当するにあたって、俯きがちな自分と内に秘めたバケモンみたいな承認欲求に向き合って必死に自己分析した痕跡に思えて、とても愛おしく感じた歌詞。
『星座になれたら』の作詞は誰が担当したんだろう?この曲では、同じ場所に並び立って輝くことを星座になぞらえて、喜多とぼっちがお互いに対して感じた憧れと、彼我の差を自覚したときの孤独感が1番と2番の歌詞に交互に落とし込まれている。それ抜きにしてもおしゃれな曲。
喜多の内面に対する解像度がこの時点の関係値の割に高いし、リリックビデオに写っていた部屋は他のどのメンバーの部屋と異なるので、喜多自身がどこかのタイミングで書いたのかもしれない、と思っていたが、ラスサビの「暗闇を照らすような満月じゃなくても」から「集まって星座になりたい」につながるのはなんとなく5話のライブシーンでのぼっちの独白が思い出されるし(「チヤホヤされたいのは変わってない、けどそれはこの4人でだ」って言ってたやつ)、「変われるかな 夜の淵をなぞるような こんな僕でも」なんて書くのはやっぱりぼっちなんじゃなかろうか?
総じて原作愛に満ち溢れた、より良い映像作品を作るための取捨選択を妥協しない「プロの仕事」って感じの作品でカッコよかった。そういう仕事がめちゃくちゃ評価されてる事実もなんだか嬉しい。
このアニメの影響で邦ロック聴いてた頃を思い返して、色々聴き漁ってたらELLEGARDENが新アルバム出してた。なんて素敵なクリスマスプレゼントだ。アジカンのファンとしても、エンディングの粋なサプライズには感動した。Thank you!
感想は以上です。遊戯王のデッキもちまちま組んでるので、次はまた持ってるデッキの紹介でも書こうかな。